学生時代には毎年スタンドで観戦していた早明戦。11月の慶明戦に続き、関東大学ラグビー対抗戦グループの優勝をかけたこの一戦を、東京・国立競技場まで観に行ってしまった。定期戦としての早明ラグビーをスタジアムで観戦するのは、大学卒業以来だ。かつてはチケットを取るのも大変で、徹夜組まで出るほど当日の自由席スタンドの陣取り合戦には熾烈なものがあった。昨今は明治の低迷もありTV観戦していてもけっこう空席が目立つように見受けるので、のんびりと出かけてみた。

青山門付近。明大スポーツ新聞部が特集号を配布

現地到着はキックオフのおよそ1時間前。JR信濃町駅はすでに観戦客でごったがえしていた。慶明戦のとき満席状態だった記憶が一瞬よぎって、バックスタンド自由席エリアはもしや大変なことに?と思ったが、中央付近を避ければそんなことはなかった。青山側のゴールと22mラインの間あたりから見晴らす位置に落ち着く。この時期の国立競技場の芝生はとても美しい。年末年始の天皇杯や高校サッカーと会期が重なる正月の大学選手権ともなると、サッカー用のペナルティ・エリアやセンターサークルの跡が浮き上がって見え、かなり興ざめだ。

開始直前のゴール裏に臙脂の巨大ジャージー

早稲田ボールでキック・オフ

さて、到着したときは周囲に誰もいなかったが、やがて右隣に早大生と思しきグループが、前列には早大OBと見られるシニアのオヤジさんの一団がやってきた。後ろはよくわからなかったけれど左隣の、紫紺のレプリカ・ジャージーを着た明治OBらしきオヤジに引き連れられた数名は職場のグループとみた。紫紺は襟付きの昔のモデルでだいぶ色あせていたから、リアルタイムで重戦車の全盛期を知る御仁だろう。両校応援団のエール交換と校歌斉唱が終わった頃だったか、突然、青山側のゴール裏スタンドに早稲田の巨大な臙脂のジャージーが……。見渡せば観客席は久々に満員だ。

試合序盤から明治が早稲田を圧倒しゴール前に迫るが、得点に結びつかない。早稲田のディフェンスがすばらしく、明治のFW陣をことごとく前で止め、攻めてはカウンターからの突破力に勢いがあった。スクラムやモールを低くうまく組む早稲田が主導権をたぐり寄せるいっぽう、明治は防御に回るとタックルが甘く、一発では止めきれない。全勝だったこれまでの試合とは何かが違った。膠着状態のFWからBKに展開すれば取れたろう、という局面もいくつかあったし、敵陣ゴール前で得た相手のペナルティでも、FW戦にこだわりすぎた。終わってみれば15-31のダブルスコアとなった第86回の早明戦、凱歌は早稲田に。

早稲田ファンは勝利の凱歌

斜陽に追われて競技場を後に

それでも点差ほどの実力差はなかったように思う。昔は合い言葉のように「12月の借りは正月に返す」とよく言われた。2週後に開幕する全国大学選手権の組合せ次第では、1月2日の準決勝あたりで雪辱のチャンスがあるかもしれない。正月の早明戦は、もう何年も見ていない気がする。

西日のまぶしい国立競技場のバックスタンドでは、上機嫌の早稲田のオヤジたちが右腕を高々と振り上げながら「都の西北」を歌っていた。